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保護者クレーム対応 初期対応の考え方

これまで、コロナ禍に伴う現在の経済状況から、保護者からのクレームが増えてくるということをニュースレターやメルマガ等で申し上げてきましたが、今回は保護者クレーム対応のファーストステップである「初期対応の考え方」について説明したいと思います。 保護者クレーム対応は、教職員がどんなに一生懸命に対応しても、その方法が間違っていた場合には精神的に疲弊してしまい、事態も益々悪化してしまう事があるのです。
これは試験勉強や部活動で成果を出すプロセスと似ているのかもしれません。どちらも“成果が出やすい方法を知って、そこに労力をかけること”が大切なのではないでしょうか?

◆初期対応の前提を知る


初期対応の考え方を説明する際に、前提として最初に知っておいて欲しいことがあります。それは「保護者の状態を理解する」ということです。
初期対応時の保護者の感情は普通の状態なのでしょうか?それとも普通ではない状態なのでしょうか?ということです。
当然、初期対応の時の保護者の感情は普通の状態ではなく「怒っている状態」にあります。
これは当たり前の話なので活字にすることが少し憚られるのですが、これを理解せずに対応に進んでしまい失敗するケースが非常に多いのです。
まずは「怒っている状態」の意味するところを初期対応の前提としてもう一度深く理解する必要があるのではないでしょうか。

◆怒っている状態の保護者の3つの特徴


それでは「怒っている状態」の保護者の特徴とはどのようなものなのでしょうか?
これは以下のように大きく分けて3つあります。



これが「怒っている人」の3つの特徴です。
もしかすると、保護者対応が苦手な教職員はこのような特徴がある「怒っている状態」の保護者に対し、自分の考えを初期対応から一生懸命説明していたのかもしれません。
しかし、怒っている保護者は上述のとおり、そもそも判断力と理解力があまり無い状態なので、当然ながら正しい判断も理解も出来ないのです。そして、本能が優位でとても攻撃的な状態でもあるので、正しい説明をすればするほど、保護者は自分が攻撃されていると感じ、動物的な本能を活性化させてしまうのです。つまり、そもそも、正しいメッセージを受け取れる状態ではないということです。
モンスターペアレントと呼びたくなってしまう保護者にはその他の事情もあるのですが、主な背景にはこのような初期対応の不備が隠れているのです。

◆初期対応の着地点


そもそも初期対応の「着地点」とはどのような状態なのでしょうか?どこを目指せばよいのでしょうか?
それは保護者を怒っている状態から「普通の状態」にするということです。初期対応ではこの状態を実現するために必要な手段を講じていかなければなりません。



初期対応が上手くいっているのはこのような状態です。
保護者が普通の状態であれば、通常は個人差はあるものの普通の判断力や理解力があり、本能を理性でコントロールできるはずです。怒っている状態で説明や説得をするよりもこの状態の保護者の方がメッセージが伝わりやすいと思いませんか?クレームが入ったら、まずは初期対応ではいきなり説明等をせずに話を聞いてもらえる普通の状態を目指すということです。

◆解決すべきものを知る


そもそも初期対応時の保護者対応は何を解決すれば良いのでしょうか?ちょっと考えてみて下さい。解決すべきものが分からなければ問題が解決することは永遠にないと思います。
解決すべきものは2つです。1つは「感情」。もう1つは「事象」で、比率としては8:2です。
感情の解決策とは、たとえば保護者が怒っていれば、怒りの感情を解決するための振舞いが解決策に繋がりますし、不安を訴えるクレームに対しては「安心感」をどのように感じて頂くのか?というところに解決策があるのです。
「事象」については、例えば生徒がケガをしてしまったクレームの場合、その要因などのことであり、実行すべきことは再発防止策です。それを保護者へ伝えていきます。
補足ですが、この8:2という比率は初期対応が終わったら逆転します。初期対応が終われば、再発防止策の方が重要ですのでそちらに力を入れて下さい。

クレーム対応と問題解決は違う


今回の学校リスクマネジメント通信で私が最後に申し上げたいことは、「クレーム対応と問題解決は違う」ということです。必ず両方の対策を実行して下さい。

クレームは解決したが
問題が解決していないケース


たとえば、いじめがあったものの、教職員の口が上手だったため、保護者を説得できてクレームは解決している状態のことです。しかし、いじめ問題が解決できていません。この状態が続くと、いずれクレームは再発し拡大しやすくなってしまいます。

問題は解決したが
クレームが解決していないケース


たとえば、いじめが既に発生していないことを長期間確認できているものの、保護者からのクレームが継続している状態のことです。これは問題の解決はできているもののクレームの解決ができていないということです。

今回の学校リスクマネジメント通信は如何でしたでしょうか?次回は「保護者クレーム対応初期対応実践編」をお送りしたいと思います。具体的にどうすれば良いのか?という内容です。保護者対応の基本を詳しく学びたい方は「すごい!保護者クレーム対応マニュアル」を参考にすると理解が深まります。
https://www.relief-point.co.jp/book3/index.html

是非、クレーム対応をしている現場の教職員の皆様で共有して頂ければと思います。


この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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