
鈴木彰典 元 校長 / 学校の安全は「想定力」で決まる~2学期に起こりやすい危機と 学校に求められる備え~
鈴木彰典(学校リスクマネジメント推進機構)です。私は過去に校長経験が13年あり、マスコミが注目していた教育困難校の立て直しを任されてきた経歴もございます。このような学校では報道される内容と実情が全く異なることもあるのですが、様々な経験が今の学校現場の支援に活かされていると感じております。
さて、今年は、学校危機管理の重要性を改めて考えさせられる事件・事故が相次いでいます。これらの事件・事故に共通しているのは、決して特別な状況で起きたものではないということです。危機管理で大切なのは、起こり得る危機をできる限り想定し、被害を最小限に抑えるための備えを整えることです。学校の安全を守る鍵となるのは、一人ひとりの教職員の「想定力」にあります。今号では、学校に求められる「想定力」を中心に情報提供します。
◆自然災害は「起きる前提」で備える
2学期は、台風、線状降水帯による豪雨、河川の氾濫、土砂災害、落雷などへの警戒が欠かせません。地域によっては冬に向けて大雪への備えも必要になります。重要なのは、「災害が起きてから考える」のではなく、「起きる前提で準備を進める」ことです。
例えば、運動会・体育祭の開催可否をいつ、誰が判断するのか、修学旅行中に注意報や警報が発表された場合はどのように対応するのか、児童生徒の引き渡しはどのような手順で行うのかなど、具体的な行動を事前に確認しておくことが重要です。
また、保護者への情報発信も学校への信頼を左右します。連絡方法が複数確保されているか、情報を迅速かつ正確に伝えられる体制になっているかを改めて確認しておきましょう。
さらに、「まだ大丈夫だろう」という判断が初動の遅れにつながることがあります。気象情報を正しく把握し、早めに判断することが、児童生徒の安全を守る第一歩となります。
◆学校行事は「成功」よりも「安全」を最優先する
2学期は学校行事が集中します。運動会・体育祭や文化祭、修学旅行、校外学習などは、子どもたちにとって貴重な学びの場ですが、一方で事故のリスクも高まります。
近年は猛暑が長期化し、秋になっても熱中症への警戒が必要です。また、行事の準備や練習が続くことで、児童生徒だけでなく教職員も疲労が蓄積します。
事故は危険な活動だけで起こるわけではありません。「例年どおり」「毎年実施している」という慣れや思い込みが、安全確認を疎かにしてしまうことがあります。行事前には、活動内容だけでなく、危険箇所の確認、救急体制、役割分担、緊急連絡体制を再点検することが大切です。また、修学旅行や校外学習では、交通事故や体調不良、感染症、食物アレルギーへの対応も欠かせません。「もしも」を想定したシミュレーションを行っておくことが、落ち着いた初動対応につながります。
◆子どもの心と命を守る視点を忘れない
夏休み明けは、不登校やいじめ、自殺リスクが高まる時期として知られています。久しぶりの学校生活に不安を抱える子ども、友人関係に悩む子ども、家庭環境に課題を抱える子どもなど、一人ひとりの状況は異なります。「元気そうに見えるから大丈夫」と決めつけず、小さな変化に気付くことが重要です。表情が暗い、遅刻や欠席が増えた、友だちとの関わりが減った、保健室の利用が増えたなど、日常の変化には子どもからのサインが隠れていることがあります。
また、夏休み中のSNSトラブルが2学期になって表面化するケースも少なくありません。教職員だけで抱え込まず、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職とも連携しながら、早期対応を心がけましょう。
◆防犯・交通安全への意識を高める
秋になると日没が早まり、下校時間帯は薄暗くなります。そのため、不審者による声かけやつきまといなど、防犯上のリスクが高まります。学校では、通学路の危険箇所を再確認するとともに、防犯ブザーを携行するなど防犯行動の再確認を行うことも有効です。さらに、自転車利用時の交通事故や、登下校中の事故防止についても継続的な指導が必要です。特に、今年4月から自転車の交通違反に青切符が導入されましたので、この機会に改めて交通安全指導を行うと効果的です。地域や保護者、警察との連携を深め、情報共有を密にすることで、防犯・交通安全の取組はより強固になります。秋になると日没が早まり、下校時間帯は薄暗くなります。そのため、不審者による声かけやつきまといなど、防犯上のリスクが高まります。学校では、通学路の危険箇所を再確認するとともに、防犯ブザーを携行するなど防犯行動の再確認を行うことも有効です。さらに、自転車利用時の交通事故や、登下校中の事故防止についても継続的な指導が必要です。特に、今年4月から自転車の交通違反に青切符が導入されましたので、この機会に改めて交通安全指導を行うと効果的です。地域や保護者、警察との連携を深め、情報共有を密にすることで、防犯・交通安全の取組はより強固になります。
◆教職員自身の健康を守る
学校の安全は、教職員の健康によって支えられています。2学期は学校行事や部活動の大会、日頃の教育活動の成果発表、保護者対応などが重なり、慌ただしい毎日が続きます。責任感の強い教職員ほど無理を重ね、心身の不調を抱えながら勤務を続けてしまうことがあります。疲労が蓄積すると、判断力や注意力、集中力が低下し、事故やミスにつながる可能性もあります。
また、保護者対応が長期化することで、精神的な負担を抱える教職員も少なくありません。管理職をはじめ、学校全体で一人で抱え込ませない職場づくりを進めることが重要です。日頃から声をかけ合い、困った時には相談できる雰囲気をつくることが、結果として学校全体の危機管理力向上につながります。

◆「説明責任」が学校への信頼を守る
万が一事故やトラブルが発生した場合、学校に求められるのは迅速で誠実な対応です。事実確認が不十分なまま情報を発信することは避けなければなりませんが、必要な説明を遅らせることも保護者や地域の不安を大きくします。学校には、「何が起きたのか」「どのような対応を行っているのか」「今後どのような再発防止策を講じるのか」を丁寧に説明する責任があります。日頃から情報共有のルールや報告体制を整え、初動対応を確認しておくことが、学校への信頼を守ることにつながります。
◆おわりに
危機は、予告なく訪れます。だからこそ、「想定外だった」という言葉で終わらせてはなりません。もちろん、すべての事故や災害を予測することはできません。しかし、「起こり得るかもしれない」と考え、平時から備えることはできます。危機管理とは、特別なことではなく、日常の教育活動を見つめ直すことから始まります。
今一度、「自分の学校では何が起こり得るだろうか」という視点で教育活動を見つめ直し、学校全体で想定力を育んでいきましょう。
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※この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。
編集者 元公立小学校・中学校 校長 鈴木彰典


