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~少年の家出および薬物乱用について~ 後編

今回は、前回の少年の家出に続き、薬物乱用について、実態を知っていただくとともに、対策について述べたいと思います。

1「乱用」される代表的な違法薬物


覚せい剤、大麻、危険ドラッグ、有機溶剤(シンナーなど)、MDMA(エクスタシー)、マジックマッシュルーム、LSD、コカイン、ヘロインなど、私たちの一番大切な脳(中枢神経)を破壊します。
※「危険ドラッグ」とは:「ハーブ」、「アロマオイル」、「バスソルト」などと偽って売られていますが、覚せい剤や麻薬に似た化学物質が含まれていることもあり、大変危険な薬物です。

2薬物乱用が心身にもたらす影響


〇脳への影響
・幻覚⇒現実と過去の記憶の整理がつかなくなる。(反社会的行動)
・運動機能の低下⇒思ったように体が動かない。(交通事故)
・内臓機能の低下⇒内臓器官に指令が出せない。(急性中毒死)
・感情のコントロールがきかなくなる。(社会的不適応、人格障害)

〇身体への影響
乱用により、大脳の神経細胞の死滅による大脳の委縮(記憶力低下、認知障害、幻覚、妄想など)、肝臓、腎臓などの細胞が死ぬなど各臓器や視神経などにもさまざまな障害が現れる。

〇耐性
乱用をし続けるうちに、「耐性」がつき同じ量では効かなくなり、無意識のうちに摂取量が増えてしまう(気づかないうちに薬物の量が増えてくる)。

〇依存
乱用すると、やめたくてもやめられない依存状態に陥る。脳内の神経系には元に戻せない変化が生じ、薬物使用をコントロールする力が失われ、効果が切れることによって起こるひどい不快感や苦痛から逃れるために乱用を繰り返し、やめようと思ってもやめられない「依存」状態に陥ってしまう。薬物を乱用し、その効果が切れると渇望が湧いて薬物探索行動に走り、さらに乱用することで依存状態が悪化。「耐性」が形成されて使用量や回数が増えていく悪循環に陥る。薬物乱用の怖さはこのような依存形成にあり、他の慢性疾患と同様に生涯の課題となる。

〇「フラッシュバック」とは?
薬物乱用によって破壊された脳の回路は元には戻りません。薬物の乱用でひとたび幻覚、妄想などの精神病の症状が生じると、治療によって表面上は回復しているかに見えても、これらの症状が再び起こりやすい下地が残ってしまうのです。

3薬物乱用の周りへの影響


○乱用者の変化
・薬物が欲しい気持ちを抑え切れなくなる。
・感情のコントロールが難しくなる。
・生活習慣が変わる

○家族への影響
・家族に犯罪者がいることを知られたくないため、家族全員、社会とのかかわりを避ける。
・家族間での言い争いや、家庭内暴力により、家庭が崩壊する。
・金銭トラブルが増え、信頼も出来なくなり、友達が離れていく。

○社会への影響
・覚せい剤を買うために、スーパーで高級酒を万引きし、スナックに売る。
・危険ドラックを使った後運転し、次々と人をはねる事故を起こす。
・覚せい剤を使用し続け、被害妄想・幻覚から包丁で家族を殺してしまう。

4誘われたとき、どう断る?

20代の約5人に1人、10代の約7人に1人が身近に薬物を使用している可能性がある人を知っていると考えられています。

~~~薬物乱用への甘い誘い~~~

●1回だけなら平気さ
●クスリでちょっと遊ぼうよ
●面白いクスリがあるんだけど
●簡単にやせられるよ
●みんなやっているよ
●やってないのはきみだけ
●人生は経験だ
●眠気がとれて、勉強ができるよ
●ちょっとだけ、試してみない
●イライラがとれてすっきりするよ
●ただの栄養剤だよ
●最高の気分が味わえるよ

○ハッキリ・キッパリ!断る
誘われたとき、少しでも迷っている様子を見せてしまうと、また誘われてしまいます。ハッキリと断ることを子どもに伝えて下さい。
○その場から離れる
誘われてしまっている状態から抜け出すため、早くその場から立ち去ることを子どもに伝えて下さい。
○子どもへの伝え方として

自分を大切にする気持ちを大事にしよう!

断らないといけないことは、わかっている。でも・・・仲間はずれにされてしまうかも?いじめられてしまうかも?という気持ちが邪魔して、悩んでしまうこともあるかもしれない。でも、危険な薬物は、一度使用するだけで、あなたの将来を台無しにしてしまう!家族、友人、大切な人を思い浮かべてみよう・・・。薬物は、あなただけでなく、大切な人も傷つけてしまうものです。

誘われたときは、しっかり断ろう


5子どもを薬物乱用から守るために

〇思春期特有の心と体の変化を理解しましょう。
〇毎日の親子の対話を大切にしましょう。
〇子どもの話には常に耳を傾けましょう。
〇悪い誘いを拒否できる勇気を育てましょう。
〇子どもが家族や学校の先生に相談できるようにしておきましょう。
〇子どもが健全な決断ができるように育てましょう。
〇学校や地域社会との関係を大切にしましょう。
〇子どもの様子がおかしいと思ったらすぐに、警察や全国都道府県麻薬・覚せい剤乱用防止行政機関などに相談しましょう。

薬物乱用者A子の事例

高校2年生のA子は、成績も優秀で進学校に入学し、部活動でも順調な学校生活を送っていたが、先輩とのいざこざから、退部してしまった。
一種の挫折感から、勉強もはかどらなくなり、ストレス解消と言いながら、夜遊びを繰り返し、いつしか中学時代の友人とクラブに出入りするようになり、踊り明かしたり、時には酒を飲んだりするようになった。
ある日、クラブで知り合った仲間から、覚せい剤を持ち出され「これをやれば、すごく気持ちいいし、痩せられるよ」と言われ、周りのノリと仲間が異常に見えなかったことから、覚せい剤を注射してもらい、たちまち虜になってしまった。そして、学校にも通わなくなり、やがて仲間と共に逮捕され、学校を退学することを余儀なくされた。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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