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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
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韓国のMERSの脅威は他人事ではない

韓国で、MERS(中東呼吸器症候群)の脅威が広がっています。5月20日に初の感染が報告され、6月13日現在で、138人の感染が確認されています。
症状や感染経路などの詳細はわかっておらず、収束の見通しも立っていないようです。

MERSは2012年に初めて確認されたウィルス性の感染症です。主に中東地域への渡航歴のある人やその接触者の感染が報告されています。
ひとこぶラクダが感染源の一つとして疑われていますが、はっきりしていません。WHOに報告されている致死率は約40%。症状は、発熱、セキから始まり、急速に肺炎を発症。6割以上が重症化したと報告されています。人から人への感染も報告されています。

もし、我が身に起こったら、と常に考える


6月14日現在、まだ日本での感染は報告されていませんが、「もし今後、日本でMERSが確認された場合、学校としてこのリスクをどのように抑制していくのか? そして生徒や保護者にどのように伝えていくのか?」といったことを事前に想定しておくことが大切です。MERSは致死率が高いので、インフルエンザ等と同じ対応では、在校生の命を守れませんし、都道府県や学校向けのガイドラインが出る前に感染者が確認される可能性も捨てきれません。

たとえば情報収集の必要性や症状の理解、また、休校のタイミングなど、今決めておかなけらばいけないことがたくさんあるはずです。
リスクマネジメントとは、起こり得るあらゆる事態に関して、あらかじめ対策を考えておくことなのです。
あってはならないことですが、万一在校生が死亡し、それが学校の対応によっては防げた場合、防止策をとっていなかったとして、大問題になってしまう恐れがあります。責任問題になった場合、学校としてどのような対策をとっていたのかが問われると思います。

まずは情報収集から


では、具体的には何をすればいいのでしょうか。
現在やるべきことは、情報収集です。日々更新される厚生省や国立感染症研究所、その他関係機関のHPを閲覧して、推移を見守り、管理職や養護教諭がMERSに関する知識を学ぶことが大切です。
知識が不足していると適切な対策はできませんので、担当者を決めて、半日ごとに管理職に報告させるくらいはしてもいいと思います。

6月13日現在、学校に対する指針は出ておりません。だからといって何もしないでいて、もし、国内の感染リスクが高まるようなことがあったら、パニックを起こさずに対応することができるでしょうか。指針が出るのを待っているのではなく、できることから始めましょう。現時点では、厚生労働省の以下のページが参考になると思います。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20150610_01.pdf

国立感染症研究所のwebサイトも見ておきましょう。
http://www.nih.go.jp/
学校はこれらの内容を十分に理解して、校内での感染を予防し、また、発生時の対策や公的機関への報告の流れを把握すべきです。
今後、国内で感染者が確認され、大きく報道された段階で(もしくはその前に)、速やかに在校生や保護者に対する注意喚起の文章を送付し、併せて、臨時のアンケートにより、在校生の健康状態等を把握する作業も大切です。保護者が報道によって不安を感じ、それを学校にぶつけてくることが予想されるからです。そ して、何よりも命を守る準備が必要なのです。
MERSは致死率が高く、感染力は弱いとされているものの、実態解明がされていない未知のリスクであるため、国内でどのような広がりを見せるかわかりません。
現時点、国内のリスクは確実に高まっていますので、常に最悪に備えることがリスクマネジメントとして大切です。
万一の時でも、学校として事前にこのようなことを実施していた、と答えられる状況を作っておくことが、感染防止のベースになるのです。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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