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生徒等からストーカー被害の相談を受けた場合の対処法

執拗なつきまといや無言電話、迷惑メールなどストーカーの被害が増えています。平成25年度の認知件数は21,089件で過去最高。うち10歳代の被害者は9.4%で1,941件。昨年には三鷹市の高校生が、学校や警察に相談をしていたにもかかわらずストーカーによって命を落とすという事件も起きました。
今回は「もし学校に、生徒等からストーカー被害の相談があった場合どうすればいいか」という読者の質問にお答えしたいと思います。

早期の通報が大事


最初にお伝えしておきたいのは、ストーカー事件が殺人まで発展するケースは、大きく報道されるから目立つだけで、実際にはごくまれだということ。H25年では検挙件数1,889件中、未遂も含め、15件(0.79%)です。
また、警察に言っても相手にされないのでは、警察沙汰にすることで逆恨みされてむしろ危険なのでは、と不安に思っている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。平成12年にストーカー行為等の規制等に関する法律(以下、ストーカー規制法と表記)が成立、平成25年に改正され、警察もストーカー被害についての取り組みを強化しています。
また、ごく初期のうちに警察に通報し、警察が「警告」「禁止命令」を行うことで、ストーカー行為が収まることのほうが圧倒的に多いのです。H25年度ではストーカー規制法に基づく警告は2,452件、うち、警告に従わなかった者に対する禁止命令等は103件(4.2%)でした。つまり、95.8%は警察の警告に従って、ストーカー行為をやめているということです。

どのような行為が罰則の対象となるか


ストーカー規制法は、「執拗なつきまとい行為を繰り返すなどのストーカー行為」のほか、
①つきまとい・待ち伏せ・住居等への押しかけ
②監視していると思わせるようなことを口頭や電話、メールで知らせる
③面会・交際の要求
④乱暴な言動(家の前でクラクションを鳴らす等も含む)
⑤無言電話、連続的な電話・FAX・電子メール
⑥汚物、動物の死体などの送付
⑦名誉を傷つけるような内容を告げたり文書などを届ける
⑧わいせつな写真を送りつけるなど性的羞恥心を侵害する行為
も規制の対象とし、罰則を設けています。
「つきまとわれた」「無言電話をされた」くらいで通報してはいけないのでは、と遠慮する必要はありません。本人が不安を感じたら、早めに警察に通報したほうが大事に至らず解決も早いのです。

生徒等から相談を受けたら


もし、生徒等から、「登下校の途中で待ち伏せされた」「つきまとわれた」などの相談を受けたら、いつ、どこで、どのようなことが起こったか、その人物の特徴(服装、体格、体型、人相など)を聞いて記録しておきます。この情報は、あとで警察に報告します。そして、次にも同じことがあったら、ただちに警察に通報するよう伝えてください。
通学途中や学校で携帯電話の所持を校則上認めていない場合は、最寄のコンビニや商店等に立ち寄ってそこから通報するように伝えます。学校に来てから通報したのでは、その人物が逃げている可能性が高く、その場にいなければ警察はなにも対応することができないからです。
しかし、いきなり110番に電話をするのは勇気がいるものです。生徒等には、「このぐらいのことで…と遠慮せず、不安に思ったらすぐに通報してかまわない。学校からも連絡しておく」ということを伝え、安心させてください。

学校としての体制を作っておく

生徒等からは担任の先生に相談することが多いと思いますが、担任だけで解決しようとせず、必ず管理職にも報告します。そして、管理職が主導して、警察に不審者の情報(被害のあった日時・場所・被害の内容・不審者の特徴)を報告しパトロールの強化を依頼する、不審な人物を見たという場所を巡回する、集団登下校をさせるなどの対策を講じます。
巡回の際に、それらしい人物がいた場合、状況が許せば写真を撮りたいところです。不審な人物がだれか個人を特定することができれば、詈察が「警告」「禁止命令」という次のステップに進むことができるからです。すでに述べたように、この段階で、たいていの行為者はストーカー行為を諦めます。

メールやSNSによる嫌がらせは画面を印刷

ストーカー規制法の改正によって、メールによる嫌がらせなども罰則の対象となりました。生徒等には、嫌がらせメールや掲示板に書き込まれた中傷などを、プリントアウトしたりデジカメで撮影するように指導してください。あとから消去されても、それらの記録が残っていれば、証拠となります。URLがわかれば書き込んだ人を特定することができます。

警察との信頼関係を作っておく

警察とは、日頃から困ったときにすぐに相談できる関係を作っておくことです。月1回程度ば情報交換の機会を持ち、顔見知りになっておくと、ちょっとしたことでも相談しやすくなります。
また、事件でなくても、悩み事や困りごとを気軽に相談したいという場合の相談窓口もありますので知っておきましょう。ぜひ、生徒等や保護者にも知らせておいてほしいと思います。

困りごとを気軽に相談できる窓口
●警視庁生活安全総務課ストーカー対策室
03-3581-4321(警視庁代表)
●ヤング・テレホン・コーナー(警視庁少年相談室)
03-3580-4970(直通)
(平日8:30~20:00、土日祝日8:30~17:00)
●警察相談ダイヤル
#9110(ダイヤル回線の場合03-3501-0110)
(土日祝日を除く平日8:30~17:15)



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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