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教師によるいじめ問題に思うこと

先月の当機構のメルマガ(危機管理手帳)に弊社マネジャー、上原和吉(警視庁元警視)が以下の文章を寄稿しましたので冒頭でご紹介させて頂きます。



「教師によるいじめ問題」に寄せて


今年2月6日、愛知県の中学3年生の男子生徒が大阪駅前のホテルから飛び降り自殺したニュースが目に留まりました。
その自殺の原因は、何と担任教師のいじめが原因らしいとのことでした。また、学校側も当該教師のいじめがあった事実を認め、謝罪したようです(以降、学校側はこれを訂正)。

第3者の私どもからすれば、感受性の強い中学生が死を選んだ背景には一体何があったのか、大変気になるものです。死に至るまでの間、対担当教師だけの問題だけで済まされるものなのか、今後の調査結果の真相究明に期待を寄せるところです。
警察庁統計資料によると、大人の平成27年中の自殺者は2万4025人、20歳未満でみると家庭問題が3,641人、学校問題では384人と前年に比較すると2人の減少(学校問題)です。
しかし、見方によっては、全体的にみると数字的には少ないとも見て取れますが、こと社会的反響のある少年の自殺を巡って、さまざまな憶測があるところであり、真相究明が急務でもあります。

まだまだ心身ともに未発達な、特に中学生は周囲の環境に左右されるといっても過言ではありません。
子どもに対する虐待、いじめ問題が叫ばれて久しいところですが、国会の場でもさまざまな議論が繰り返し行われ、ハード面での法整備も何度となく行われてきたところです。一方、ソフト面の「こころの空間」はいくら法整備を急いできたところでも、埋めることはできないでしょう。

それは、ただ対子どもの問題だけでなく、生きた家庭での在り方、友人や学校などの直に接する周囲との在り方など多くの人々との接触の過程で起こりうる難問が山積し、悩みの原点であるといえます。
そこが感受性の強い思春期に最も求められる子どもを平素からの態度からこころを知る姿勢、つまり家庭でも学校でもちゃんと向き合っているのかどうか、周囲の大人は一個人としての子どもを知ることが大切ではないでしょうか。これがおろそかになっているから問題行動が起こる、とは言い過ぎでしょうか。

両親の離婚による精神の不安定化、教師の経験不足による対処・指導不足、あるいは学校管理職の補足指導不足などその背景はさまざまです。
どこの学校でも事が起きてから、ドタバタ劇が始まります。今や悩み多い現実の問題として捉え、起こりうる当然の事前対策として備えておくのは自明の理ではないでしょうか。

このようなメルマガを配信し、多くの反響がありました。
自殺の要因はさまざまだと思いますが、是非、原因を究明してほしいと願っております。
学校側は教師によるいじめを一度は認めたものの、後日訂正をしていますが、この事例に限らず教師による生徒いじめは言語道断であり、決して許されるものではありません。

もし、教師という大人がこのようなことを行なっているとすれば、子どものいじめも無くなることはないはずです。


この学校ではありませんが、私がさまざまな相談を受ける中で最近話を聞くことは、集団で特定の教職員や在校生を追い詰める組織的ないじめ事案です。
また、このようないじめに一部の保護者グループが加担しているケースもあるため、実情は極めて深刻です。

これらは一般的ないじめやパワハラと言うレベルではなく、意図された壮絶な集団リンチの場合もあります。学校でいじめが発生した場合、管理者は一つの可能性として、このような現実があることを想定しておく必要があると思います。そうしないと対応策を間違えてしまう可能性があるからです。

一方、学校以外でもこのような問題が3月1日の新聞に掲載されておりました。
福岡県糸島市消防本部内で40代の男性職員2名を中心とした13人のグループが、数年にわたり職員30名にパワーハラスメントをしていたという内容です。

このグループは部下に訓練を装って暴行をしたり、人事への不満から上司の自宅に押し掛けたりしていたようです。
この消防本部では職場環境の改善アンケートが実施されていたものの、全て本部内で処理されていたため、この酷い環境が改善されることはなかったといいます。

今回、市長への投書で発覚したものの、少なくとも7年以上前からこのような行為が集団で行われていたということです。
いかがでしょうか?
「自分の学校では、あまり、現実的ではない気がする……」
もし、あなたがこの文章を読んでいて、少しでもそう思っているのであれば、あなたの「リスクセンス」はあまり高くないのかもしれません。

リスクを想定することで初めて発生頻度や影響度の管理・コントロールができるのです。
想定外のリスクが顕在化した場合は、管理ではなく事後対応しかできないのです。

自校でこのようなことが発生したらどうするのか?
また、発見するためにどうすればよいのか?
それを考えるだけでもかなりの違いが出てくるはずです。ちょうど新年度です。時間を見つけて、考えてみては如何でしょうか。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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