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少年非行の実態(前半)

子どもたちにとっては待ちに待った夏休み。しかし、様々な誘惑や犯罪に巻き込まれる可能性をはらむ、教師や保護者にとっては心配な夏休みでもあります。
今回は、少年犯罪について、その現状と、対策について、前半、後半の二回にわたって、お話ししたいと思います。

全国の少年非行情勢


平成27年中における暴行、傷害、恐喝、窃盗などの刑法犯少年の検挙人員は3万8,921人と、平成16年から連続の減少となりました。14歳未満の触法少年(刑法犯)の補導人員は9,759人と、前年に比べ17.6%減少となっています。
しかし、河川敷において男子中学生を刃物で殺害した事件(神奈川)、山中において同級生の女子高校生を殺害した事件(三重)などの相次ぐ凶悪事件のほか、振り込め詐欺に加担する検挙人員の増加、再犯者率(刑法犯検挙人員に占める再犯者の割合)の増加など厳しい状況下にあります。(警察庁統計)

京都内における少年非行情勢


(1)校種別の特徴的傾向

東京都内における、刑法犯少年の特徴的傾向を、校種別に見てみましょう。
○小学生
刑法犯少年として補導した小学生は730人で、前年と比べ104人(約16.6%)増加。うち窃盗(万引き、自転車盗、車上狙い等)が約8割(79.2%)を占めています。
○中学生
刑法犯少年として検挙・補導した中学生は1,568人で、前年と比べ305人(16.3%)減少。うち窃盗(万引き、自転車盗、自動販売機狙い等)が約7割(65.7%)を占めています。また、中学生は、刑法犯少年全体(5,616人)の約3割(27.9%)を占めています。
○高校生
刑法犯少年として検挙・補導した高校生は1,614人で、前年と比べ20人(1.3%)増加。うち窃盗(万引き、自転車盗、自動販売機狙い等)が約6割を占め(60.6%)ています。また、高校生は、刑法犯少年全体の約3割(28.7%)を占めています。

(2)犯行場所別

少年犯罪の多数を占める万引き事件(窃盗罪)を場所別で見ると、スーパーマーケット(ホームセンタ―、家電量販店、コンビニなど)、が最も多く、次いで商店、デパートの順となっています。
原因、動機別に見ると、私欲が最も多く、次いで遊び・好奇心・スリルなどとなっています。

(3)校内暴力事件

校内暴力事件は、70件発生し、85人を検挙・補導しており、うち中学生によるものが約8割(56件、71人)を占めています。
対教師に対する暴力事件は27件発生し、31人を検挙・補導しており、中学生によるものがほとんど(26件、30人)で、高校生によるものは発生していません。

(4)いじめによる事件の検挙・補導状況

6件の発生で、罪種別では恐喝が最も多いです。

(5)非行の背景及び環境

「怠学中」が多く、親の態度では、父母とも放任家庭が最も多いです。

(6)家庭内暴力の認知状況

少年相談や補導活動を通じ、警察が認知した少年による家庭内暴力は427件で、前年より84件(24.5%)増加しました。校種別では、中学生が188件(44.0%)で最も多く、次いで高校生が139件(32.6%)で、中学生と高校生で約8割(76.6%)を占めています。
原因・動機別では、「しつけや親の態度に反発」が最も多く、約6割(60.4%)を占めています。

少年の福祉を害する犯罪の特徴的傾向(東京都内)


近年は、インターネットに起因する福祉犯被害が増加傾向にあり、いわゆる援助交際をしていた児童が売春組織で売春を強要される事案や、無料アプリの「ID交換掲示板」を利用して不特定の者と知り合った児童が児童買春等の犯罪に巻き込まれるなど、短絡的、手っ取り早い金稼ぎ、観念が希薄など極めて憂慮すべき状況にあります。
また、社会的な情勢や性意識等の変化を反映した、女子高校生を売りにするいわゆる「JKビジネス」をはじめとする少年の性を売り物にする新たな形態の営業が出現するなど、少年を取り巻く環境はますます複雑化しています。

非行事例

〇自宅居室内で大麻を譲り渡した成人と学校内で大麻の売買をした高校生が大麻取締法違反で検挙。
〇口論となった被害者に土下座を要求して、顔などを足蹴りしたうえ、現金や財布が入った手提げバッグを奪い取った高校生1人と中学生2人が強盗で検挙。
〇路上を通行中の被害者から現金入りの財布などが入ったビジネスバッグをひったくり盗んだ女子高校生ら3人が窃盗で検挙。
〇「体育館予約したから予約代持ってこい。」などと言ったが、これに応じなかったことから、被害者方に押しかけ、マンション敷地内で暴力を加え、現金を脅し取った高校生3人が恐喝で検挙。高校生らは、現金を要求するなどいじめを繰り返していた。
〇駐輪場内から原付オートバイを盗んだ成人と定時制高校生ら5人が窃盗で検挙。
〇78歳の男性宅に電話をかけ、「息子さんが会社のお金を流用して緊急逮捕される可能性がある」等と嘘を言って、路上で現金を受け取ろうとした男子高校生2人が詐欺未遂で検挙


次回は、この「少年の福祉を害する犯罪」について、詳しく述べたいと思います。

(参考:警視庁資料及び報道資料)



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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