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学校リスクマネジメント推進機構の鈴木彰典です。私は過去に校長経験が１３年あり、マスコミが注目していた教育困難校の立て直しを任されてきた経歴もございます。このような学校では報道される内容と実情が全く異なることもあるのですが、様々な経験が今の学校現場の支援に活かされていると感じております。

 

近年、子どもたちが関わる非行や被害の背景には、インターネットやSNSといった情報環境の変化が大きく影響しています。警察が公表している少年非行・被害の実態によれば、スマートフォンを通じたトラブルの多発が顕著であり、学校現場としても日々の指導の中で、そのリスクに目を向ける必要があります。本号では、現在の少年非行・被害の傾向と、それに対する学校現場での具体的な対応策をご紹介します。

 

 

◆少年非行・被害の傾向と背景

 

１．SNS・ネット利用に起因するトラブルの増加

最近の非行や被害の多くは、スマートフォンを通じたやり取りがきっかけとなるケースが増えています。出会い系アプリやSNSを介した知らない相手との接触が、児童買春や性被害、恐喝や薬物の誘因につながる例も見られます。特に「闇バイト」と称して高額報酬をちらつかせ、子どもたちを巻き込む手口が増えており、本人に悪意がなくても、自覚のないまま加害者となる危険性があります。

 

 

２．「軽い気持ち」が重大なトラブルに

警察の調査によれば、非行の発端は「軽いノリ」「好奇心」「仲間からの誘い」など、日常の延長線上にある動機が多くを占めています。万引き、暴力行為、飲酒・喫煙、自画撮り画像の投稿など、子ども自身がその行為の重大性を認識しないまま、結果として社会的・法的な問題へと発展していくことが後を絶ちません。

 

 

 

◆教職員が意識すべき視点

 

１．スマートフォンの使用実態

多くの学校では、校内でのスマートフォン使用に一定のルールを設けていますが、実際のリスクはむしろ「家庭での使用」に潜んでいます。夜間や深夜にSNSを通じて知らない相手とやり取りをしたり、不適切な動画や写真を送信したりといった行動は、家庭内で大人の目が届かない時間帯に起こりがちです。

 

２．非行と被害の両側面を指導する視点

子どもたちは、加害者にも被害者にもなり得ます。たとえば、クラスメートの外見や発言をからかったつもりの言葉がSNS上で拡散されることで、深刻ないじめにつながる可能性があります。一方で、被害者となった子どもが声を上げられずに苦しんでいるケースも多く、教師による早期発見と丁寧な対応が鍵となります。

 

あらゆる機会を通して、子どもたちに「ネットでの言葉や行動は現実と同じくらい重い」という認識を持たせることが重要です。

 

 

◆学校現場で取り組むべきこと

 

１．情報モラル教育の充実

情報モラル教育は、単発の講話やプリント配布で終わらせず、継続的・系統的に行うことが大切です。子どもたちの発達段階に応じて、「写真を送るリスク」「個人情報の取り扱い」「炎上の仕組み」など、具体的な事例を交えて伝えていきましょう。警察が提供するリーフレットや動画教材は、分かりやすく実用的であり、発達段階に応じた活用や保護者会での活用も有効です。

 

２．保護者との連携強化

学校でどれだけ指導しても、家庭での対応が伴わなければ効果は限定的です。保護者に対して、スマートフォンのフィルタリング設定や使用時間の管理、アプリの使用確認などを呼びかける啓発活動を行いましょう。学校だよりや通知文などに「最近のトラブル事例」や「注意すべきアプリ」などを記載することで、保護者の危機意識を高めることができます。

 

３．専門機関との連携

学校独自の対応に限界がある場合は、警察や少年相談センター、スクールカウンセラーなどと積極的に連携しましょう。警察では「出前授業」や「相談窓口の提供」も行っており、外部の専門的支援を活用することが、子どもたちの安全を守る大きな力となります。

 

 

◆SNSを通じたトラブルの事例（全国）

• ネット掲示板等に特定の子どもに関する誹謗中傷を投稿する【いじめ】
• 特定の子どもになりすまし、その子どもの社会的信用を失墜させる【いじめ】
• SNSで知り合った人物から、わいせつな画像送信を誘導され、拡散された【性被害】
• SNSで悩みを相談していた相手に誘い出され、連れ込まれた【未成年者誘拐被害】
• SNS投稿から居場所を特定され、しつこくつきまとわれた【ストーカー被害】
• SNSで薬物情報を得た未成年者が違法薬物に手を出してしまった【薬物被害】
• SNSに「お金に困っている」と投稿したところ、犯行グループから高収入バイトの勧誘を受けた【闇バイト】

 

 

◆夏休みは危険がいっぱい

～子どもの非行・被害を防ぐために～

 

都内で不良行為により補導された少年のうち、行為別では「深夜徘徊」が最も多く、全体の約６割を占めています。また、学校種別では中学生・高校生が約８割に達しており、毎年７月から９月は非行が増加する傾向にあります。   夏休みに入る前には、以下のような保護者向けの注意喚起を行いましょう。 ・子どもの生活に関心をもちましょう。深夜徘徊、無断外泊、派手な服装、見慣れない金品などに注意が必要です。 ・ネット利用のルールを決めましょう。利用時間や場所などについて話し合い、年齢に応じた見直しも必要です。 ・ニュースをきっかけに、親子で犯罪について話題にしましょう。

 

 

当機構にも、SNSを通じたトラブルの相談が多く寄せられています。法的な視点、警察の視点、学校現場の視点などを踏まえ、問題解決に向けたアドバイスを行っておりますので、何かお困りの場合はすぐにご相談ください。早期のご相談が、迅速な解決につながります。

 

 

 

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※この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。

　編集者　元公立小学校・中学校　校長　鈴木彰典