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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
学校リスクマネジメント推進機構

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新入生受け入れに伴う学校危機管理

◆皆様にとって最も嬉しい日は…


嬉しい日、それは期待と不安に胸を躍らせた新入生が入学してくるこの時期を連想する方も多いのではないでしょうか。しかし期待と裏腹に、新しく出会う子どもや保護者と良好な関係を築いていくために思慮する時期でもあるはずです。今月の学校リスクマネジメント通信では、そんな出会いの時期に向け学校危機管理の観点から、「学校や教職員はどのようなことに目を配っていけば良いのか、事前にどのような準備や対策を講じておけば良いのか」という事にフォーカスをしてお伝えしていこうと思います。

まず今回のレターを読み進めて頂く上で1つキーワードになるセンテンスをお伝えいたします。それはこどもや保護者とのトラブルを未然に防いだり、拡大させないため、または頻度を低減させるためには先生と子ども、保護者の間でいち早く「ラポール(親和)」の関係を構築すべきということです。入学前、こどもや保護者は少なからず学校や先生に対して「警戒」や「疑心」の心を抱きながら接してくることが考えられます。ここを理解することが必要です。相手は先生の発言、言動、配布する書類の精度等から、学校やあなたの質・透明性を必ず伺ってくるはずです。となれば、まず学校やあなたが大事にすべきなのは子どもや保護者に与える第一印象ではないのでしょうか。最初の接点である入試、入学説明会、入学式、オリエンテーションなどで意識的に子どもや保護者へ好印象を与えようとしたことはありますか?案外、入学時に感じた学校の対応を子どもや保護者はずっと覚えているものです。第一印象をしっかり見せることは、その後の信頼関係をいち早く構築させ、トラブルの発生頻度を低減させることに繋がっていくのです。

◆入試に伴うリスク


昨年、当機構へ入試に関するこのような相談が寄せられました。とある受験生の保護者が「ウチの子の答案用紙を見せて欲しい。不合格のはずがない。」と受験先の学校へクレームを入れてきたのです。
無論その受験生の点数は合格ラインを満たしておらず、不合格であるのは疑いようのない事実ではあったのですが、、、
ここで理解して頂きたいのは、この入試に関わるクレームというのは、発生頻度自体は高くないのですが、発生した際の学校へのダメージが肥大化しやすい事象であるということです。覚えてますでしょうか?2018年。報道でも大きく取り上げられた不正入試問題。女子受験生に対しての採点を一律に減点し、合格ラインを上回る女子学生が不合格となった一件。これも始まりは1つのクレームからだと聞いています。
もしあなたなら、どのようにその保護者へ説明をしますか?実際に答案用紙を見せますか?相手が弁護士を同席させた場合、開示を拒否する根拠が用意出来ていますか?その中で相手が感情的になってしまった場合、親和の関係が構築されていない状況で相手を納得させることは出来ますか?簡単なようで難しいクレームなのかもしれません。

貴校の募集要項から見直すのも1つの方策です。「入試における回答用紙の開示請求については一切応じない」との記載が要項に必要なのかもしれません。学校単位で統一したQ&Aを用意しておくこともリスクマネジメントです。
また、学校経営の判断から発生してしまった受け入れトラブルでこんな事例もありました。10月の段階で数名の生徒に合格内定通知を発行したものの、年明け2月の時点で出願者数が定員の5%に満たず、法人の人件費等を考慮した結果、途中で当該年度の募集を停止する決断をされた学校。既に入学内定通知を発行した数名の生徒に対しても次年度の新入学は認めないと再提示を出したのです。その後、行き場を失った生徒と保護者、在籍校の校長は弁護士を同席させ、留年しないよう今年度中の受け入れ先の補填と入学までに掛かった予備校費や心身喪失に対する治療費及び慰謝料、また、入学金の返金等の支払いを学校へ訴えてきたのです。この事案に対しての評判は瞬く間に地域へ広がり、次年度の募集においても更に学校が苦しむことになったのは言うまでもありません。今一度、入試に係る様々なリスクと対策を見直してみてはいかがでしょうか?

◆入学書類の見直しを毎年されていますか


入学手続きにおいてもリスクが存在しています。入学誓約書、学費請求書、制服や実習着、教科書といった学校指定用品の案内文など、学校単位で必要に応じた書式を用意し、入学説明会等で保護者へ案内をされていることと思います。その中で、当機構が承った相談として顕著なのが、新学習指導要領に伴い新たに必要とされる書類の添削です。
新たに保護者向けの書類を作成したいのですが、学校危機管理の視点を考慮してどのように作成すれば良いかという相談です。例えば情報分野。学校によってはタブレット端末を児童、生徒等に配布し、学校授業はもとより自宅学習においても活用しようという傾向が広がっています。
その使用上の留意点や禁止事項について、児童・生徒等を含め保護者と学校で誓約書を取り交わす必要があるはずです。情報端末の取り扱いの制限はボーダーラインが引き辛く、また不正利用されても目に見えづらいリスクがあると思います。

貸与される端末の費用は別に徴収される学費(設備維持費)の一部に含まれているのか否か、多発するネットトラブルに対応できる対策と規則が示されているのか否か、違法サイトや課金サイト、転売や改造、またパスワードロックの無断変更など学習利用と関係のないことに対して細かく明記されていることが大切です。
その他全ての事項に法的根拠や学則との整合性を加味しながら、誓約書を作成しなければなりません。学校が支給したタブレットから児童・生徒等が様々な事件やトラブルに巻き込まれたとなれば、責任の所在が学校へ向けられるリスクもあるでしょう。

また学校全体の危機として考察するとより恐ろしいことも想定されます。児童・生徒等の端末が紛失したり、ウイルス感染をしてしまうようなことがあれば、不正アクセス等によりに学校のメインサーバーに侵入され、所有する個人情報や財務情報が一気に流出するリスクも否定出来ません。
新入生が入学される前のこの時期に想定されるリスクを今一度洗い出し、精査し、入学手続きや書類の精度に危機管理の視点を反映させて頂ければと思います。必ずトラブルの発生頻度の低減や発生後の影響度軽減に繋がるはずです。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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