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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
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学校で起こる様々な問題に どう対処するか(後編)

前回に続き、当機構の新メンバー、石田隆輔(元警察官) の見聞きした学校関係のトラブルと、それに対する解決方法の考え方を聞きました。

子どもに発達上の問題等がある場合の対応


――自分の子どもに発達上の問題等があると認めたくない、という保護者に対して、有効な言い方はあるのでしょうか?

保護者がお子さんと真摯に向き合えるような、丁寧な説明が必要ですね。今のクラスにいるとどうしても勉強が遅れるなど、何らかの支障が出てしまう。けれど、お子さんの状況にきちんと対応した特別支援学級(校)に入ると、同じレベルで学習できるので「自分はこんなにできるんだ。」と自信を持つ場合もあるんです。勉強が苦手だったお子さんが、1番になれることもある。そんな気分の高揚力は大切です。
子ども自身は、自分ができないことをちゃんとわかっています。だから騒いでみたり、色々な行動に出るんです。それを、きちんとお子さんに合った場所で慣らしてから、次の段階に進むのはどうでしょう、と促してみる。病気を治すのと同じで、時間をかけて、という考えで付き合っていくのはどうでしょう、と伝えます。
それともう一つ。お子さんに関わる事件・事故が起きた場合は、保護者にも責任が発生します。将来、お子さんの力が強くなってくると、ちょっとした行動で大きな事件・事故につながることもあります。後悔先に立たず、ということになる前に、お話しさせていただくこともありますね。

――タイミングや言い方を慎重に選びつつ、きちんと伝える必要がありますね。

子ども本人がやってはいけないことを理解しない限りは、何度も同じことを繰り返す、ということもあります。「あれ、この前もここ(警察署)に来たんじゃない?」というようなことは、必ずありますね。
その際、保護者にお子さんを引き受けに来ていただきますが、「改悛させますよ」と仰ってもその対応は様々です。子どもを引っぱたく保護者もいれば、「何?これくらい?」という保護者もいる。また、一緒に涙を流している保護者もいるなど、対応が本当に様々なんです。
中には、学校の先生・保護者、お子さんの三者が 同時に相談に来たこともありました。

トラブルの原因を見極めるには


――何かトラブルがあった場合、どのように対応してきましたか?

事件・事故が起こる時には、必ず原因があります。「喧嘩をして倒れ込んだら、○○にやられて怪我をした。」という、泣きながらの相談があった場合でもよくよく話を聞けば、その子の方が先にちょっかいを出し、さらに蹴飛ばすなど色々と暴力をふるっていたところ、相手のお子さんが「もういい加減にしろ。」と手を振りほどいた。その後はずみで、たまたま当たってしまい打ち所が悪くてケガをした。という話もかなりあります。
暴走族の場合もそうなんですが、「少年の特異性として、負けたほうが悔しさから被害を大きく言ってし まう傾向もある。」ということも多々あります。
本当はどうなのか?原因はどちらにあるのだろう?という点を客観的に見なければ、間違った判断をしてしまいます。

――ただ話を聞くだけではなく、その状況を再現するように話を聞き、少年の特異性を把握しておく。ということが大事なんですね。。

また、原因究明の調査に際し、たとえば先生方がトラブル発生前後の様子をずっと見ていた、ということは現実的ではありませんよね。先ほどの喧嘩の例で言いますと、ある教員が「私は見える範囲にいましたよ」と言ったとしても、実際に見えたのかどうか、それとも一部しか見えなかったのか、様々な状況を考えます。その時の状況では見えなかったのでは?といったことも確認しないといけないですね。
また、周りにいた第三者に話を聞くことも大事ですね。「あっちから仕掛けていた」とか客観的に話をしてもらえます。
もちろん、疑ってばかりでは本当はいけないんですが、ちょっと冷静になって考えてみて、「そんな行為が本当にできるのか?」と考える視点をもつことことはやり大切ですね。

トラブルの拡大を防ぐには?


――子ども、教職員含め、トラブルの拡大を防ぐ手立てはありますか?

何といっても教職員の共通認識が必要ですね。そして正しい情報を学校長まで上げていただく、ということです。間違った情報が上がっていくと、誤った対応になりかねません。ですから、保護者の方にも、お子さんの良い面だけでなく悪い面も全て伝える。それを、全ての先生方の共通認識とする。
トップが判断を間違えない仕組みをつくるということが大切です。

――担任からトラブル対応についての相談を受けたこともあると思いますが。

担任1人で全てできるはずはありません。周りの先生へSOSを出す、そういうことも大事だと思いますね。
先生の職場は非常にストレスが多いと思います。朝早くから夜遅くまで余裕なく働いて、常に子供と相対していて、負担も大きい傾向にありますね。
このような様々な状況を見てきて思うのですが、周りの先生も気付いて手を差し伸べていれば済んだのではないか、と思うことはよくあります。
悩んでいることを人に話してみたら、気持ちが本当に軽くなったということは多いと思います。ただ、それを言えずに、一人で抱え込んでしまう。特に若い先生には、抱え込む傾向が多いようですね。ある学校の校長先生が、悩んでいる先生に対し「先生の代わりに教壇に立つことは校長の私だって副校長だってできるから、悩まずに話してごらん。無理をしなくていいんですよ。」とおっしゃっている場面に遭遇したことがありました。

――先生同士で情報を共有しながら助け合い、日々起こる問題を乗り越えていけたら、ということですね。

私が学校や保護者から相談を受けた時、それぞれの主張は正しいと思えるのですが、他にも色々な考え方があります。しかし、なかなか気付くことは難しい。ですので客観的なアドバイスをしてくれる第三者に意見を求めるのもベターかもしれませんね。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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