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学校リスクマネジメント推進機構|学校と教職員向け危機管理相談
学校リスクマネジメント推進機構

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夏休みを前に… ~生徒児童等が犯罪に巻き込まれないために~

◆今一度、注意喚起して下さい


今回お伝えする内容(東京都内の少年犯罪の傾向)を元に、是非、夏休み前に注意喚起して頂ければ幸いです。あなたの学校やクラスにも、犯罪へ巻き込まれる環境要因を既に抱えている児童生徒等は、必ずいるはずです。
SNS等のトラブルに、夜の街における思わぬ勧誘、そこから薬物に手を染めてしまうこともあれば、その犯罪に加担してしまう場合も少なくありません。児童生徒等は、開放感から気持ちも浮つき、好奇心から犯罪に手を染めてしまう傾向がありますので要注意です。
その一方で、児童生徒等の弱みに付け込む大人も社会には数多くいるということを、是非、知って頂きたいと思っております。

◆少年犯罪の傾向


刑法犯少年の検挙・補導人員は平成22年以降、減少しているのが現状です。振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の検挙数において、成人を含めた全体数は減少しているものの、この特殊詐欺に少年が関与している割合は、令和元年で17.9%と高い水準を示しています。
窃盗犯のうち、万引きで検挙・補導された少年は前年に比べて若干減少しているものの、窃盗犯全体の7割弱と依然高い割合を占めています。
少年を取り巻く犯罪傾向を知ったうえで未然防止の観点から児童生徒等にご指導下さい。
都内における、特筆的な昨年の少年犯罪検挙事例については下記をご参照下さい。

◆少年を取り巻く問題点


次に現在の問題点についてお伝えいたします。

■多い小学生の万引き
悪いことと知りながら「どうしても欲しい」といった欲求感から、その後も成功体験に味をしめて、さらに手を染めていく傾向があります。「やって良いことと悪いこと」の分別は家庭での子育ての早いうちから身につけさせて欲しいものです。

■振り込め詐欺グループ(特殊詐欺)への加担増加
前述したとおり近年は少年らの関与が多くなっており、小遣い稼ぎのアルバイト感覚で手を染めるケースが後を絶ちません。特に、友人らに誘われて安易な気持ちで、末端の現金受け取り役の「受け子」として詐欺グループに加担したケースで検挙されることが目立っています。「ATMでお金をおろしてくるだけ!」という危険な誘いを『お金欲しさ』『先輩などからの誘いを断われなかった』などアルバイト感覚で犯罪に手を染めているのが実態です。

■ながらスマホ(歩きスマホ)
スマートフォン操作やイヤホンで音楽を聴くなどの「ながら(自転車)運転」による自転車対歩行者の事故が多発傾向にあります。その内訳は自転車を運転していた高校生や中学生が大半を占めており、事故のうち8割近くが安全運転義務違反や、一時停止などの法令違反があることが指摘されています。また、加害未成年者の保護者に対する損害賠償事案も多く発生し、社会問題にも発展しています。

■令和元年都内における特筆的な少年犯罪検挙事例■

□通行中の会社員に暴行を加え現金等を強取した高校生3人らが強盗致傷罪で検挙
□深夜にトイレットペーパーに火を点けて公園内の公衆トイレを放火した中学生2人が非現住建造物等放火罪で検挙
□業務を妨害する目的でSNS(会員制交流サイト)のアカウントを消去した高校生ら3人が電子計算機損壊等業務妨害罪で検挙
□異性を巡り知人に暴行を加え傷害を負わせた高校生ら3人が暴力行為等処罰に関する法律違反及び傷害罪で検挙
□被害者をホテルに誘い込み、援助交際名目で会社員から現金を脅し取ろうとした女子高校生ら4人が恐喝未遂罪で検挙
□始発電車待ちの専門学校生らに因縁を付け、キャッシュカードや現金を脅し取った男子高校生ら4人が恐喝罪で検挙
□列車を緊急停止させる目的で、列車軌道敷地内に発煙筒を投げ込み、炎と煙を立ち上がらせ、列車の運行を妨害した男子高校生らを威力業務妨害罪で検挙。
□SNSに投稿する目的や自宅でプレイする目的で、ゲームセンター内に設置されたゲーム機の太鼓1個(時価10万円相当)を窃取した男子高校生ら3人が窃盗罪で検挙

■「会員制交流サイト」を巡る問題
SNS等による会員制交流サイトでのやりとりを通じて性犯罪に巻き込まれる女子高校生らが後を絶ちません。小遣い稼ぎ感覚の安易な書き込みが大人を刺激し、顔の見えない双方とも罪意識のないまま性的な関係に至るケースが依然として多く発生しています。ネット上では相手に対する警戒感が薄れ、犯罪に巻き込まれるケースが多いのが大変気になります。



■大麻事件若年層増加
匿名でのやり取り可能なSNSを通じて、違法な薬物が売買されています。中でも大麻は、覚せい剤などに比べると安価で入手可能なことから、若い者でも購入が可能で、大学生や中高校生も少なくありません。次第により強い刺激を求めるようになり、ひいては覚せい剤など他の薬物の乱用に至るケースも多い状況です。若年層への蔓延を防ぐためには、誤った認識を正し、自らを律する力をつける教育も必要です。




■児童虐待の増加
年々増加傾向にあるのが大変気になります。今年1~4月に全国の児童相談所が対応した件数は、66,789件に上り、前年同期に比べ12.1%増加しています。中でも新型コロナウィルス感染症拡大に伴う自粛生活のストレスから、虐待に及ぶケースも報告されています。登校した児童の体などの傷、アザなど現場サイドで把握したら管理職へ早期報告、場合によっては児童相談所あるいは警察(生活安全課)への相談、通報も念頭において早期の対応が望まれます。

学校現場でも今、新型コロナウイルス感染症予防対策や、児童生徒等に対する目配り気配りに、悪戦苦闘の日々が続いていることと思います。目に見えない敵に対し、一人ひとりがどうやって実践し、予防を図っていくのか。手探りの状態は今後も続くものと思われます。だからこそ、正確な情報と知識を持ち合わせ、児童生徒等へ的確な助言や指導をしなければならないものと考えています。第一線で児童生徒等と共に闘う教職員の皆様のご健康を願い、また、奮闘努力に敬意を表し、心からエールを送らせて頂きます。



この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。


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