令和4年中における犯罪概要/ 鈴木彰典

今回の学校リスクマネジメント通信は、夏休みを迎えるにあたって令和4 年における少年犯罪の傾向や背景などの問題点を抜粋してお伝えしたいと思います。

◆都内における刑法犯認知件数は7 万8,475 件で、前年同期と比べて3,187 件(4.2%)増加しています。
また、刑法犯少年の検挙・補導人員は、3,042 人で、前年同期と比べて117 人(4.0%)増加しました。
街頭犯罪の認知件数は、2 万5,820 件で、2,212 件(9.4%)増加し、街頭犯罪における少年の検挙・補導人員は418 人で、98 人(30.6%)増加しました。

 特に街頭犯罪のうち、少年の検挙・補導人員の占める割合が高い罪種は、オートバイ盗(78.7%)、自動販売機ねらい(57.1%)でした。

◆少年犯罪の状況(都内)

 刑法犯少年の検挙・補導人員は、平成22 年以降減少しており、ひったくり等の街頭犯罪についても、軒並み減少傾向で推移しています。

しかし、オレオレ詐欺等の特殊詐欺は、昨年末の時点で検挙・補導された少年は153 人で、前年同期比23人増加、少年が占める割合は19.1%と、依然として少年の関与が大きな社会問題となっています。
特に無職少年の74 人に次いで、高校生の38 人が多く関与しているのが気掛かりです。

 最近は、受け子(現金受け取り)や出し子(ATM 操作による現金引き出し)を募る「闇バイト」に応募した若者が特殊詐欺や強盗に加担する事件が続発していることから、闇バイトの危険性を周知させ、安易に応募しない環境作りが求められています。

~闇バイトとは~

*「闇バイト」は、高額報酬をちらつかせ、具体的な仕事の内容を明らかにせずにツイッターなどのSNS で犯罪の実行役を募っています。
*「即日払い」「月収3桁以上」「1回限り」などの甘い文句で募集しています。
*一度「闇バイト」に応募してしまうと、途中で辞めたいと思っても、応募の際に送った身分証明書から「家族に危害を加える」と脅かされるなど辞められません。
*オレオレ詐欺などの特殊詐欺や強盗などの犯罪に加担することとなり、犯罪者になってしまいます。

◆少年犯罪検挙事例(全国)

①通行中の女性2 人の背部等を包丁で切りつけ、全治3か月以上の治療期間を要する背部切創や全治3 か月以上を要する左腎損傷等の傷害を負わせた中学生を殺人未遂罪で検挙。
②高齢女性からキャッシュカードをだまし取ろうとした「受け子」役の高校生と中学生を詐欺未遂罪で検挙。

◆少年の福祉を害する犯罪事例(全国)

①飲食店において13歳の女子中学生を従業員として雇用し、客に対して酒を注いだり、会話の相手になるなどの接待をさせた経営者ら3人を児童福祉法(酒席に侍らせる行為)違反で検挙。
②自営業の男は、女子高校生にSNS を利用して募った客7人を引き合わせ、ホテルでわいせつな行為をさせるとともに、同状況をデジタルカメラで撮影し、児童ポルノを製造した。
男を児童福祉法違反及び児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検挙。
③出会い系サイトで知り合った10歳代の女性を誘拐し、自宅でわいせつな行為をした男を児童福祉法違反及び未成年者誘拐で検挙。

◆少年非行の背景

  少年が非行に走る背景には、例えば、「学校でいじめに遭っていた」「友達ができず仲間に受け入れてもらえなかった」などといった被害体験がその後の不適応の原因となるケースも少なくありません。

  少年自身の規範意識の低下やコミュニケーション能力不足のみならず、従来、少年の規範意識を醸成してきた家庭等の監護能力の低下や、少年を取り巻く生活環境において、自らの居場所を見いだせず孤立し、疎外感を抱いてしまう現状があります。

  一般的な少年の特性としては、「迎合しやすい」「威圧に服しやすい」「誘導暗示にかかりやすい」ということがあります。

こうした特性は、少年が人格形成の発達途上にあり、精神的にも心情的にも不安定で、環境からの影響を受けやすいなど、成人とは異なる面を持っていることに起因しています。

 さらに、これらの特性は、発達段階や少年の生活状態、交友関係などの個人差によっても大きく異なってくることを理解する必要があります。
 少年が非行に走る前には、言葉遣いや服装、所持金品等に変化が見られ、行動面においては、深夜徘徊や無断外泊、喫煙等の不良行為を繰り返すようになります。

このような「兆し」が見られた時は、タイミング良く注意・助言を与えることが必要です。

 ただ単に、校則違反(きまり)のみを取り上げ、正論で追い詰めてしまうと、子供は心を閉ざし、表面だけを取り繕ってしまうので、その場に合った、工夫を凝らした対応を心掛けていただきたいと思います。

~夏休みを迎えるにあたって~

◆子供の自殺統計(全国)

 厚生労働省と警察庁のまとめによると、昨年の小中高生の自殺は、統計開始以降で最も多い514人でした。
これから夏休み本番を迎え、生活態度や精神的にも変調を来す時期でもあります。

子供の些細な変化に早く気付き、注意深く見守ってほしいものです。

◆保護者の皆様への呼び掛け

〇子供のインターネット利用について

 近年は中学生や高校生だけでなく、小学生低学年にもインターネットの利用が広がっており、SNS 上でのいじめ、詐欺や性犯罪の被害、ゲーム等の高額課金、長時間の依存的な利用等の問題が多く起きています。

こうした問題を回避するには、保護者がフィルタリング等の安全対策をとることと、子供の判断能力を育てることの両方が必要だと思います。
子供と話し合ってルールを決め、ルールを学ばせながら少しずつ自分で判断できる範囲を広げていくようにしたいものです。

 進級・進学の機会にスマートフォンやゲーム機を子供に持たせる家庭もあるかと思いますが、子供の年齢に合わせた家庭内のインターネットの利用ルールを決めておくことが大切です。

 インターネットを長時間使っている子供は生活全般が乱れがちで心身の健康を損なうおそれがあります。
どうすれば、利用時間をコントロールできるかを繰り返し家庭で話し合い、健康的で規則正しい生活が送れるよう是非注意・助言していただきたいものです。

〇その夏休みアルバイト・・・本当 に大丈夫??

ネット上にあふれている甘い言葉に騙されないで !!

一緒にお茶飲むだけ?

一緒に散歩するだけ?
短時間で稼げるよ!
みんなやってるよ!

(警察発行犯罪統計、東京防犯協会連合会発行資料等参照)

学校リスクマネジメント推進機構
マネジャー 上原和吉

元警察官幹部。警視庁新宿警察署生活安全課(課長)、警視庁(本部)生活安全部少年事件課(管理官)等を歴任。
学校事案も数多く担当してきた経験を生かし、学校リスクマネジメント推進機構のスタッフとして学校の支援を行っている。

 

 
 

※この記事は当機構が制作・発行している「学校リスクマネジメント通信」をWEB版として編集したものです。編集者 元公立小学校・中学校 校長 鈴木彰典

 

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