Top > モンスターペアレント対応を掘り下げる

モンスターペアレント対応を掘り下げる  
モンスターペアレントに伴う問題点、解決策の提案。教職員研修会・書籍の提案

〜 事後対応だけでは問題は解決しない 〜

学校リスクマネジメント推進機構 代表 宮下賢路



〜FAXで送信するだけで購入できます〜 モンスターペアレント対応・保護者との信頼関係構築に

 25の事例から法的対応等の知識を学ぶ     精神的負担・訴訟・告発を防止する方法を学ぶ
               
第一弾 1000円(税込)完売         第二弾1386円(税込)完売




               
第三弾1400円(税別)   
好評販売中!
詳細はこちらから
  






あなたが、国公立の学校に勤務する教職員で、すぐに解決したい問題があり、トラブルの対応を間違えて裁判沙汰になりたくない場合は、こちらに解決策があります。 

→ 教員サポートシステム 弁警(べんけい)





 近年、モンスターペアレントに悩まされている教職員が増えている。私立学校のある理事長は10年程前から無理難題要求が増え、5年程前から問題が顕著になってきていると話す。また、公立学校の休職者は10年前の3倍にまで増加しているとの統計がある。

休職者増加の背景の一部分として、教職員の長い勤務時間に苦情対応が重なり、ストレスをより一層溜め込んでしまっているという実情がある。勿論その他の背景も複雑に絡まっていることは否定できないが。

 この現状を変えない限り事態は好転せず、リスクだけが次々と学校の内部に蓄積されていくだろう。そのリスクはいずれ拡大して必ず表面化する。

 モンスターペアレント対応の影響でうつ病が増加し、自殺を図る教職員が何名もでている。
先日、教員を目指している大学生達から、将来、教員という職業に就くのが非常に不安だ、という話を直接聞いた。このような悲しい現状は早急に変えるべきだ。本気で。学校の管理者は今すぐに重い腰を上げて欲しい。

 現在、一部ではあるが問題解決に向けた取り組みが開始されている。例えば、相談員やカウンセラーの増員、また、弁護士や警察官OBに助言を求めるなど・・・・。

 しかし、これらの取り組みは対症療法である。つまり、教職員の「心の痛みを和らげる」という面では必要不可欠ではあるものの、この対策だけを継続していても本質的な問題解決にはならないということである。管理者側がこの事実に早く気付く必要がある。保護者を権力で制圧したり、教職員を励ましたりするだけでは表層的で一時的な問題解決にしかならない。「痛み止め」ばかりを処方し続けても自己解決能力が無い限り問題は更に悪化してしまうのである。このようなことを繰り返すと、弁護士や警察OB等に渋々屈したが、「復讐心」を抱く保護者が少なからず増えることが憂慮される。「復讐心」を持たれると内部告発が生じやすくなり、別件でも揚げ足を取られる可能性もある。保護者の怒りが増大するため訴訟も増えるだろう。

 つまり、「クレームの影響度が拡大する」ということである。また、相談員やカウンセラーが悩んでいる教職員を一時的に助けることは必要だが、一番重要なことは

組織的にクレームに対応できる能力を培うこと」だ。

悩んでいる教職員が今後も教壇に立ち続けるためには、一時的な空腹を満たすために魚(対症療法)を与えるのではなく、継続的に生きていけるよう、魚の釣り方(クレーム対応能力)を同時に教えるべきだ。そして「組織的」にそのクレームを評価しながら活用していく仕組みを継続的に構築していくことが強く安定感のある組織を作り出すのである。

 「組織的」という観念を考慮せず、例えば小手先のコミュニケーション能力向上研修ばかりを実施していても、問題は解決しない。管理者はこの問題が人の命や子供の将来に係わる重要な問題という認識を持ち、小手先だけではなく組織的なリスクマネジメントとして全体像で捉えて欲しい。まずは管理者がリスクマネジメントの概念を理解する必要性があるのだ。

 上述した「心の痛みを和らげる」作業は、「発生した危機のダメージを軽減させる」という危機管理(クライシスマネジメント)の概念であり事後対策のウエイトが高い。これらと同時に進めなければいけない重要な事は、モンスターペアレントによって被るダメージの発生頻度を継続的に下げる事前対策(狭義のリスクマネジメント)である。つまり、対症療法と同時に、「教職員がモンスターペアレントに悩む頻度(回数)」を「組織的」に低減させるという概念が非常に重要なのである。この概念とは予防措置をシステム化させることであり、言い換えると「苦情対応のリスクマネジメントシステムを組織に導入する」ということになる。管理者がこのような視点を持たなければコストを掛けた対策の効果は一時的に終わるだけではなく、後述する外部環境の影響により致命的なクレームの発生頻度や影響度もさらに拡大する恐れがある。

 具体的には「苦情対応方針に基づいて組織としてのルールを作り、それを現場へ定着化させ、結果を評価しながら改善を繰り返す仕組み」の導入が必要なのである。つまりPDCA(計画・実行・評価・改善)の概念だ。そしてこれらを具現化(整備・運用・定着化)するためのポイントは企画・設計段階で正しい意見や要素を取り入れる、ということだ。しかし、業界の文化的な背景から組織的なマネジメントシステムや危機管理・リスクマネジメントの概念が浸透していないケースが多いため、慎重に解決策を企画しないと間違った方向に進む懸念性がある。間違った方向とは、中長期的に見て、保護者クレームの発生頻度や影響度が拡大する、ということだ。「モンスターペアレント」という言葉が生まれ、自殺者やうつ病、新任教員の退職者が増えている現状を鑑みると、教育界は特にリスクマネジメント・危機管理の視点が必要不可欠であることがわかる。

 例えば、現在でも解決されていない個人情報の過剰保護の問題も組織的なマネジメントシステムの欠如が招いた結果だ。個人情報保護法施行当初、学校や管理組織では組織としての明確な方針やルールも定めないまま法律論や損害賠償等の内容を中心とした研修会を行い教職員たちに危機感を与えた。つまり、「個人情報は“注意”して取り扱うように」ということだ。

 しかし、現場(教室)は具体的に何をどのように“注意”するのかが分からないため、教職員個人の判断で、保身のために過剰に個人情報を保護してしまう。一方、一部の意識の低い教職員は何も対策を講じていないケースもある。つまりA組とB組で個人情報の保護の仕方が違うのである。保護者も混乱するだろう。これがルールが無い学校や、あっても機能していない学校の現実であり、過剰保護を招いている大きな要因の一つなのである。そもそも、学校としての方針やルールも無く、あっても知らないものをどうやって守ればよいのか。歯抜けの緊急連絡網、友達の住所が分からないために年賀状も出せない子供達。私は日本の将来が心配だ。学校はモンスターペアレントの対応では絶対に同じ過ちを繰り返してはいけない。組織的な観点が無ければどこかに歪みが生じることになるからだ。


 学校は苦情や不正行為等の自浄機能(内部通報窓口等)を有していないケースが多いため、「クレームは“悪”なので隠す」という考えが根深い。学校関係者はクレームは機会であり、自分や組織を改革するチャンスだと捉える必要がある。クレームを真摯に受け止める姿勢が大事なのである。クレームは影響が小さい早期にリスクとして受け止めてそれを活かすことで保護者の満足度や評判を向上させることができる。保護者の満足度を向上させることが学校や教職員の良き理解者を増やすことに繋がり、最終的に自らの評価をも向上させることができるのである。

 一方、外部環境は厳しい。政府が進める消費者行政が保護者を含む消費者の権利意識を現在よりも確実に向上させるだろう。そして司法制度改革の影響で弁護士の数が増えているため、当然、訴訟の選択肢も保護者には現在より身近な存在になる。内部告発も法整備によって件数が増加している。訴訟や内部告発が増えると学校や教職員の負担はさらに増え、教育に費やす時間や情熱がどんどん奪われてしまう。そうなると教職員や学校はさらに苦しくなるのではないか。教職員は保護者のクレームを恐れ、生活態度が芳しくない生徒や学生を注意できなくなる。当然“思い入れ”も低下することから教育の質もさらに下がるだろう。

 教育現場を疲弊させてはいけない。なぜなら、学力、人間力、そして国力も低下するからだ。

 私はモンスターペアレント対応の問題については、一方的に保護者だけが悪いという訳ではなく、学校や教職員側が保護者をモンスターペアレントに育ててしまっている側面が存在していると考えている。勿論、どこかで育てられたモンスターペアレントが学校にやって来ることもあるが。

 例えば初対面で年上の保護者に所謂“タメ口”で話しかける若い教職員。明らかにおかしい。しかし当の本人は全く悪気が無い。。。また、謝れないベテラン教職員や管理職も多い。はじめから法廷論争と勘違いをして自分の正当性ばかりを主張してしまう。この行為が内部告発や訴訟を誘発し、後に自分や家族、学校などを窮地に陥れてしまうことに気付いて欲しい。クレーム対応は弁護士・検事などが裁判で行う論争とは180度異なる。勘違いは命取りだ。学校は裁判所ではない。
このような状況がハザード(リスクの環境や要因)となって保護者を感情的にさせ、結果的にモンスターペアレントに育ててしまっているケースが非常に多い。しかし、明らかに不条理な要求を最初からしてくる保護者もいる。また、保護者が勘違いしている場合もあるが、それでも、心掛けなければいけないことがある。

 それは「苦情を受けたら誠実な対応をする。」ということだ。
苦情を申し出ている保護者を感情的にさせないためには、このことを忘れてはいけない。
そして、保護者に迷惑を掛け不快な思いをさせているかどうかを決めるのは“教職員側ではなく保護者側”であるため、「私の考えは正しく、迷惑なんて掛けていない」、といった教職員の主張や概念はここには存在できない。酷な言い方だが、評価は第三者がするものである。不快と思われたら不快なのである。教職員のプライドは必要だが、例えばミスを認めないのはプライドではない。迷惑を掛けたら謝るのが人間として当然のことだ。この原則は立場を問わない。一方、裁判のごとく正当性を主張するなどして初期対応に失敗し、法令違反の強要や金銭の要求などにクレームを拡大させてしまった場合は、自らの初期対応を反省しながらも、毅然とした対応をとらざるを得ない状況は発生する。

 しかし、まずは迷惑を掛けてしまった状況・結果などについて誠実に対応することが重要なのである。相手の感情を抑制しなければ何も始まらないことを知るべきである。

 例えば駅のホームで急病人が発生して電車が遅れた場合、車内には「電車が遅れまして大変ご迷惑をお掛けいたしました」との謝罪アナウンスが流れる。しかし、よく考えるとこのケースは鉄道会社の責任は少ないはず。
それでも鉄道会社は“電車が遅れてしまった”という状況・結果についての限定的な謝罪をしているのである。鉄道会社が乗客に迷惑を掛けたのは事実なのだから。これが原因で大事な約束に乗客が遅れることも考えられる。しかし、もしここで鉄道会社が「うちに責任はない。遅れたのは急病人のせいだ」と謝罪もなく初期段階から正当性を主張したらクレームの質と量はどうなるのか。この例を学校内・外で発生した事案に置き換えてじっくりと考えて欲しい。

 現場での具体的なクレーム対応の方法については当機構で発行している書籍(本ページ上部のリンク先から購入可能)や研修会(幹部研修・一般研修)での技術指導なども参考にしていただきたい。また、リスクマネジメントシステムの構築方法については体制構築サービス(コンサルティング)や会員(顧問先)向け無料相談に委ねたいと思うが、ポイントを一言でいうと「復讐心を抱かせずにクレームを活かす仕組みを整備する」ということである。そのためには、まずは組織のトップが“正しい現状”と“正しい対策”を理解して、あるべき姿を目標として定め、それを達成するための資源(人・モノ・金・情報)を積極的に投入することだ。

 リスクマネジメントシステムの構築によって、満足度が向上して保護者から笑顔が生まれると、教職員に感謝の言葉が投げかけられる。そうすればきっと深い、深い悩みから開放されるケースも少なくないだろう。そして、良い学校、良い先生という評価が教職員のモチベーションや生きがいを生み出し、それが子供の学力向上に繋がることになる。

 学校は、なぜこの様な問題が発生しているのか?という原因を掘り下げ、解決に向けた仮説を立ててそれを実行し、評価・改善を繰り返すことである。つまり、現状把握から最適のフレームを作り、それを基準としながらクレーム対応の精度を継続的に最適化していく、ということだ。問題解決が仕組化されている学校は世の中や個々のニーズを継続的に捉えられるため、評判が上がるなど様々な面で良い効果が現れるだろう。

 学校リスクマネジメント推進機構では、クレームをリスクと捉えてコントロールするという概念を研修会や書籍などを通じて学校業界に普及させている。リスクとは損失の可能性であるとともに現状を変えるチャンスだ。学校や教職員はクレームを自分自身を向上させる機会であると捉え、学校運営・クラス運営などに活かしていただきたい。




平成20年7月24日
 学校リスクマネジメント推進機構 代表
レリーフポイント株式会社 代表取締役
宮下 賢路





     


             学校リスクマネジメント推進機構のホームページへ